とりつくしま(東直子)| かんたんな紹介と感想
忙しい日々の中、少ない読書時間でどの本を読むべきか、なかなか決められずに悩んでいませんか?この記事では、20秒ほどで東直子著「とりつくしま」の紹介と感想が読めます。ぜひ本選びの参考にしてくださいね。
オススメな方
- 美しい言葉に触れながら、大切な人を思いたい方
- 心が洗われる穏やかな時間を過ごしたい方
- 死者目線で表現されるユニークな世界を見たい方
かんたんな紹介
死んだあなたに「とりつくしま係」が問いかける。この世に未練はありませんか。あるなら、なにかモノになって戻ることができますよ、と。
そうして母は息子のロージンバッグに、娘は母の補聴器に、夫は妻の日記になった・・・・・・。
すでに失われた人生が凝縮してフラッシュバックのように現れ、切なさと温かさと哀しみ、そして少しのおかしみが滲み出る、珠玉の短編小説集。
(上記出展元:作品帯に記載されている出版社の紹介文)
読んだ理由
柔らかで独創的な表紙絵が目に止まったこと、著者が歌人で美しい文章が紡がれているという紹介に惹かれて。
心に響いた一節
『先生は、わたしの表面をいつくしむようにそっとなで、ゆっくりと開きました。そして、わたしで風を作りました。』
美しい文章に心が洗われると同時に、これがとりつくしまだと夏にしか会えないけれどもあえて選んだのがよくわかり胸が締め付けられる。
安定した穏やかさの中に凛とした芯の強さを感じて心地よい。
(『』内、作品より引用。)
感想
出版社の紹介にある通り、文章が美しく、切なくも心洗われ、穏やかであたたかな気持ちになる。
死後の世界をこのように描く発想にも驚かされた。
元気なうちに親孝行しよう、友人や関わる人々へ恩返ししよう、直接会いに行って顔を見て、存在を近くに感じながら語らおう、そうしたい、と素直に優しいほうへ導かれる。